祐川金次郎先生のアイスクリームの話
目次
1.5月9日はアイスの日 
2.アイスクリームは現在!?(6月4日更新)
3.アイスクリームは栄養食品です(7月1日更新)
4.アイスクリームの製法(8月1日更新)
5.アイスクリーム類の種類(9月1日更新)
6.アイスクリーム成分の性質(10月1日更新)
7.低カロリーアイス(11月4日更新)
8.アイスクリーム成分の生理効果(12月1日更新)
9. 脳卒中と蛋白質(1月5日更新)
10.腸内の働きもの乳糖(2月2日更新)
11.ビタミン(3月2日更新)
12.ミネラルと成人病(4月1日更新)
13.骨折とカルシウム(5月1日更新)
14.カルシウムとコレステロールの関係(6月1日更新)
15.脳血栓を防ぐカルシウム(7月1日更新)
16.カルシウムと血圧の関係(8月3日更新)
17.骨粗しよう症(9月1日更新)
18.カルシウムとがん(10月1日更新)
19.カリウム(11月2日更新)
20.成人病とは(12月1日更新)

アイスクリーム博士プロフィール
祐川金次郎(すけがわきんじろう)
大正10年12月4日(1921年)
昭和27年 3月
      4月
  35年 3月


  46年 6月
      7月

  60年 3月
      4月
  63年 4月




北大理学部化学科卒
雪印乳業 入社
理学博士取得
  牛乳の中に免疫抗体 を作る研究
  粉ミルク、チーズなど多数製品開発
雪印乳業開発課長を最後に退社
帯広畜産大学畜産物利用学教室 初代教授
乳製品製造に関して永く学会リーダーとして活躍
帯広畜産大学退官
雪印乳業技術顧問就任
さくら食品株式会社技術顧問に就任
(ほか数社の技術顧問に就任)


主な著書
   乳業技術便覧 3版改訂
   乳業機械工学便覧
   乳タンパク質     ほか多数


1 5月9日はアイスクリームの日

アイスクリームの値段は大工さんの日給の2倍!
日本でのアイスクリームは、明治2年6月(1869年)、横浜で出島松造なる人の指導を受けたらしい町田房蔵なる人物が、日本で初めてアイスクリームをつくり、”あいすくりん”という名前で販売したといわれている。
その時の1杯の値段はなんと大工さんの日給の2倍と計算されている。ともあれ、そのアイスクリーム発祥の地にはアイスクリーム記念碑「太陽の母子」が建ち、毎年5月9日を”アイスクリーム・デー”と定め、いろいろのコンテストが催されている。
なお、指導に当たったらしい出島なる人物は、幕末の密航者の1人で、アメリカでアイスクリーム製造技術を学び、帰国後、東京青山の農業試験場に勤務、そこに明治6年7月(1873年)行幸された明治天皇にアイスクリームをつくって捧げた人でもあるらしい。

アイスの語源はアメリカから
さて、アイスクリームの呼び名が初めて登場したのは1700年アメリカで、それ以前はフランス語のグラス、イタリー語のジェラードがよく使われていた。しかし、イタリーでは1533年頃からシャーベットが作られていたらしい。

アイスは家族円満の秘訣
食べながら歩くは乞食、といわれた昔と違って、アイスクリームの食べ歩きは現代若者の風物詩ともなった。その姿はすべて明るく、家族円満のために、老いも若きも、舌を大きく出して食べ歩くも快なるべし。


2.アイスクリームは現在!?

アイスの大衆化
食生活の洋風化にともない、アイスクリームは四季を問わず、容易に口にすることのできるごく一般的な食品となってきたし、暖房施設の普及、大型冷蔵庫の浸透で、冬にあたたかい部屋でアイスを食べる習慣が定着しつつある。また、アイス購入層の中心は子供ではなく、主婦となり、主婦が買い物ついでに買うアイスとしてマルチパックの人気が高まっている。好きな時に好きなものを1個とれるのも利点でしょう。

トッピングの楽しみ
多くはそのまま食べていますが、最近は好みの食品をトッピングして楽しく食べる方法が若い人の間ではやっているようです。いわゆる見た目の美しさと、トッピングによる味わいの意外性を楽しんでいるようです。
例えば、水分の殆どないインスタントコーヒー、これにアイスクリームの冷たさ、甘さ、脂肪の旨さ、常温で溶ける、といった特性を利用して、アイスクリームの上からインスタントコーヒーを好みの量ふりかけます。バニラとコーヒーはよく合いますし、顆粒の歯ざわりもよいでしょう。これにブランデーを落としますと大人のデザートに、抹茶なども同様でしょう。

3.アイスクリームは栄養食品です

アイスクリームはうれしい、楽しい食品
アイスクリームは一般に嗜好食品と考えられているようですが、他の嗜好飲料と違って、主原料は牛乳・乳製品であり、卵を用いるものもあるので牛乳以上の栄養素が、冷たく、甘く、うれしく摂れる楽しい食品ということができるでしょう。

アイスは栄養の宝庫である
また、アイスクリームは非常に消化のよい食品であり、タンパク質とカロリーを正しい比率で供給してくれ、カルシウムとカリウムのすぐれた供給源であり、さらにビタミンAおよびB2の補給源としての役割ももっています(これらの成分の人に対する生理効果は後記します)。
アイスクリームの成分(100g当り)
カロリー
 
 水分 

 蛋白 

 脂肪 

カルシウム
mg
カリウム
mg
 リン 
 mg 
ビタミンA
Iu
 B1 
 mg 
 B2 
 mg 
140
68
4.0
3.5
120
160
110
100
0.05
0.20
176
65
4.0
8.5
120
160
110
240
0.05
0.20

*上段は低脂肪、下段は高脂肪
4.アイスクリームの製法

アイスクリームは何でできているのか?
アイスクリームは、牛乳・乳製品中の脂肪と無脂乳固形分を主成分として、砂糖、香料、その他必要に応じて安定剤、乳化剤、色素などを加えて混合、殺菌、冷却し、泡立て凍結した食品である。
また、目的に応じて卵、果物、ナッツなどを加えたものもある。一般に凍結する過程で泡立てや攪拌をするので舌ざわりの滑らかな食品となるのが特徴である。

アイスの分類の仕方
アイスクリーム類を成分上から分類すると、次のようになります。
アイスクリーム :乳固形分15%以上。うち乳脂肪8%以上。
アイスミルク  :乳固形分10%以上。うち乳脂肪3%以上。
ラクトアイス  :乳固形3%以上。
それ以外に氷果、シャーベットなどがあるが、これらには乳固形分は殆ど含まれていない。

5.アイスクリーム類の種類

アイスクリームは自由自在
アイスクリーム類は、その原料として多くの種類のものをさまざまな形で使うことができ、しかもその組合せや形態なども自由に変えることができるので、きわめて多くの種類のものがつくられる。一般には以下のように大別されるでしょう。
様々なアイスの種類
1)プレーン・アイスクリーム
一般的なアイスクリームで、添加香料および色素が5%未満の範囲内で加えたもので、果肉などは加えてない。代表的なものにバニラ・アイスクリームがある。
2)コンポジット・アイスクリーム
添加香料および色素が5%以上で、ココア、チョコレート、果実、ナッツなどを加えたものがある。アズキ入りアイスクリームなどはこれに属する。
3)カスタード・アイスクリーム
卵黄固形分を含むもので、果実、ナッツなどを加える場合もある。
4)マーブルまたはリップル・アイスクリーム
プレーン・アイスクリームにリップルソースを加えて、シマ模様状に混和させたものである。リップルソースは、砂糖、水、ペクチンなどで作ったベースに果物のピューレやチョコレートシロップなどを混合したものである。添加物によって各種のものがある。
5)ムース・アイスクリーム
生クリームをホイッピングして、砂糖、香料、色素、果物などを加えて凍結するもので、高脂肪製品である。
6)パーフェ・アイスクリーム
高脂肪で多量の卵を含み、また、アイスクリーム、泡立クリーム、果実などを交互に盛ったものをいうことがある。
7)ファンシー・アイスクリーム
人形、果物などの型に入れて凍結したもの。またホイップドクリーム、ゼリーなどでデコレーションするものなどがある。
8)ソフト・アイスクリーム
フリーザーから出したまま硬化しないもので、コーンなどに盛って販売されるもの。
9)その他
アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、ウォーターアイス。

6.アイスクリーム成分の性質

乳脂肪、無脂乳固形分、香料
乳脂肪: アイスクリームのもっとも重要な成分で、濃厚な風味、組織のドライ化と滑らかさ、保型性に関係します。脂肪率が8〜12%で風味、組織が最も良好で、一般に好まれている。
無脂乳固形分: 脂肪の脂っこい感じを消し、やわらかい、まるみのある風味を与えてくれます。一般に好まれるアイスクリーム中には8〜11%含まれている。ソフトクリームのようにフリージング直後にしっかりしたボディが要求されるものには、ミックス中最高14%程度必要でしょう。
香料: マイルドなものが好ましい。バニラが最も標準的なフレーバーで多用されているが、チョコレート、ストロベリーも多く用いられている。
その他様々な成分
一方、フルーツ・アイスクリーム、シャーベット・アイスにはオレンジ、ライム、パイン、ストロベリー、アプリコット、ピーチ、ラズベリー、チェリー、バナナなどのフルーツ系フレーバーが、また、アズキ、抹茶、カボチャ、バレーショ、トウモロコシ、メロン、ラベンダー、ハスカップ、さらに牛乳フレーバーを補強するために、牛乳の香気成分を調合したミルク香料やクリーム香料なども使われている。
チョコレートおよびココアはフレーバー用としてのみでなく、コーティング、トッピング、マーブルあるいはミックスに混合したものなど、いろいろな形で用いられている。

7.低カロリーアイス

おいしい低カロリー
カロリーをおさえ、しかもプレミアム・アイスクリームと同じように、おいしさを保ちながら、従来のアイスクリームの半分のカロリーにおさえているので、カロリーを気にせず、食べたい時に食べられるように工夫されたアイスクリームも開発されている。
脂肪や砂糖の代替として、殆どカロリーのない(1Kカロリー/g)ポリデキストローズ(食物繊維)とアスパルテーム、エリスリトール、ステビア、マルチトールなどが使用されている。
商品の特徴としては、
・おいしい低カロリー
・カロリーが従来のものに比べ約50%
・脂肪分が従来の商品に比べ約50%
・ノンシュガー

8.アイスクリーム成分の生理効果

ヘルシー志向にマッチ
牛乳・乳製品にはいろいろな生体調節機能をもった物質が含まれているため、ヘルシー志向にマッチした食品である。
動物性蛋白質、脂肪は結核、肺炎などの感染症に対する抵抗力を高め、血管を丈夫にして脳卒中を減少させた最大の原因であるといわれている。日本人平均1日の動物性蛋白質の摂取量は現在約40g、全脂肪は58g前後(摂取全カロリーの約25%)であるので、平均的にみるとこの程度がよいと思われるが、脂肪についてはこれ以上増やさない方がよいでしょう。動物性蛋白質、脂肪を食べると成人病になるのではないかという心配をされる方もおられるようですが、これも程度の問題である。

9.脳卒中と蛋白質

重要な蛋白質
牛乳中の蛋白質は、老化した血管を修復して血管の細胞を強化する働きを持っている。
例えば、脳卒中の多い地方では、蛋白質の摂取量が少なく、塩分の摂取量が多かったが、動物性蛋白質の摂取増加によって脳卒中の発生が次第に低下している。これは良質な蛋白質がいかに血管の修復に役立っているかを示す例である。
つまり、牛乳中の蛋白質は中高年の人が血管を丈夫にするために最も役立つ栄養素の一つであるということができる。脳血管性ボケ(脳卒中)は、主に動脈硬化と高血圧が原因でおきるが、食生活を改善することで動脈硬化や高血圧、ひいては脳卒中を防ぐことが可能である。
成長期の子供にとって動物性蛋白質が必要なことは、今さら言うまでもないでしょう。アイスクリームには、種類によって多少異なりますが、約4%の乳蛋白質が含まれている。

10.腸内の働きもの乳糖

マルチな乳糖
アイスクリームには5%以上の乳糖が含まれているが(牛乳より多い)、乳糖はわれわれの想像以上の複雑な働きをしている。
乳糖の存在によって、カルシウム、リン、鉄の利用吸収に好都合な酸性発酵がおきやすいことは重要であり、このほかにも腸内における酸性発酵は、腸内の腐敗微生物の発育を阻害する傾向があり、われわれの栄養にとって重要な役割をしている。
乳糖は小腸粘膜に存在する乳糖分解酵素ラクターゼによって、グルコースとガラクトースに分解されて吸収されるが、腸管内で乳酸菌、とくにビフィズス菌、アシドフィルス菌の生育を促進させる。さらにその分解物から、乳酸や酢酸が生産されて小腸内、大腸内を酸性にして雑菌の発育を防止するし、これらの乳酸菌はビタミンB2、ビオチン、ニコチン酸、葉酸などのビタミンを作ってくれる。
腸内の有害菌の増殖を抑制し、乳酸菌類の有用菌を増すようにすれば、老化、発がんを抑え、健康を維持することができる。動物レベルであるが、腸内有用乳酸菌がある種の発ガンを抑制することも知られている。
また、分解されずに残った乳糖は、腸内の浸透圧を高くし、その分解物(乳酸、酢酸)とともに腸壁を刺激して腸のぜん動運動を活発にし、便秘を防いで老廃物の排出を促進させる。つまり腸内の掃除をする役割もしている。
さらに安定剤として使用されているものは、すべて一種の繊維(水溶性)であるので、乳糖と同様に便秘の解消に役立つでしょう。

11.ビタミン

アイスで老化を防ごう
ビタミンは、体内で合成される酵素とともに食物が消化・吸収利用されるために必要な物質で、体内の細胞の健全化には欠かせない栄養素であり、主として食物から摂らなければならない。
ビタミンの生理機能の調節作用は、機械に油をさすように、ごく少量で効果を現わすのが特徴である。ビタミンが不足すると健康の維持はもちろん、成長や繁殖にも支障をきたすことになる。
アイスクリーム中には、とくに日本人に不足がちなビタミンA(100〜240IU)、B1(50マイクログラム)、B2(200マイクログラム)が含まれている。最近B2が老化を防ぐビタミンとして注目されている。ビタミンAは脳細胞の膜を強く健康的な状態に保つし、体内で生成される有害物質の一つである過酸化脂質の蓄積を抑制する抗酸化剤でもある。

12.ミネラルと成人病

カルシウムの効能
日本人に最も不足がちであるCa摂取量は、他の栄養素は一応すべて所要量を満たしているのに対し、Caだけが600mgの所要量に対して現在でも約90%の摂取にとどまっている。このことは、ここ数年間の問題ではなく、過去30年以上にさかのぼってみても、Caの摂取量が所要量に達したことが一度もないというありさまである。Caは骨や歯の主成分であるばかりでなく、生物の成長、神経、筋の興奮、種々の酵素活性、細胞膜の透過性、ホルモンの合成など多くの生理機能に関与している。また、Caの骨粗しよう症予防、コレステロール低下、高血圧、脳卒中、がん予防などが次第に明らかにされてきている。
アイスでこころゆったり
Caを最も手軽に効果的に摂れるのは牛乳・乳製品であり、アイスクリームにも牛乳よりも多い120mg/100gのCaが含まれている(アイスクリームの種類によって若干異なる)。ヒトではCaの99%、約1Kgは骨にあるが、血液100ml中には約10mgのCaが含まれている(アイスクリームの種類によって若干異なる)。ヒトではCaの99%、約1Kgは骨にあるが、血液100mg中には約10mgのCaが含まれており、その変動は殆どないといわれているが、何らかの原因で血中Ca量が減少すると、神経の刺激感受性が増して興奮し、Ca濃度の低下によってテタニー(筋のけいれんで手や足の関節の屈曲がおきる)となる。これに反して、血中のCa濃度がやや高めになると神経の興奮を抑える。つまり、Caが不足すると神経過敏になって精神が不安定となり、イライラしたり、心がすさみ、暴行したりするようになる。Ca不足の子供がイライラして根気が続かず、無気力、無感動、無関心になりがちであるのは以前から指摘されている。

13.骨折とカルシウム

骨折しにくい身体作り
遊んでいるうちに、ちょっとしたことで骨折してしまう。そんな子供が増えている。ちょっとオーバーな言い方をすれば、現代子たちは、清涼飲料水を摂りすぎる危険に常にさらされている。糖分の多い清涼飲料水はカロリーも高く、だいたい1個のカン入りを飲むと100Kカロリーにもなる。しかもすぐ吸収され、糖分の血中濃度を高めるために食欲をおとし、正常な食事による栄養補給がおろそかになる、したがって、丈夫な骨を作っていくための材料不足になってしまうわけである。手足の骨折で入通院の患者数は、1日当り全国で約11万人もいる(1985年厚生省調査)。これは30年前と比べると約9倍、10年前と比較しても2万人以上の増加である。患者の内訳は、4人に1人は65歳以上の老人。また6人に1人は14歳以下の子供や乳児である。この10年間で65歳以上では2倍、14歳以下は1.5倍のハイペースで増えている。原因は舗装、車などの環境的なものと、高齢者の骨の老化が急速に進んでいること、幼児、子供の場合は、運動不足や栄養面の偏りで骨や筋力の低下に原因がある。運動やCa、蛋白質摂取を考える必要がある。

14.カルシウムとコレステロールの関係

コレステロールは低くできる
コレステロールとCaの関係については、Caを毎日十分に摂ると血中コレステロールが低くなるという臨床実験の結果が報告されている。したがって、毎日の食生活でCaの多い食事を摂るように心がけることは、高コレステロール血症を予防し、ひいては動脈硬化、心筋梗塞、狭心症、脳出血、脳卒中などの成人病の予防にもなる。

15.脳血栓を防ぐカルシウム

Caの濃度は常に一定に
加齢によって胃酸の分泌が悪くなるなどしてCaの吸収が減少し、血中のCa濃度が下がると健康上の問題が出てくる。そこで生体は自衛のために副甲状腺ホルモンを分泌し、骨からCaを溶出させて血中のCa濃度をコントロールする。食事中のCaが不足したり、齢をとってCaの吸収率が悪くなったりすると骨が弱くなるのはそのせいであるが、問題はそれだけではない。いったんそのようにし始めた副甲状腺ホルモンの作用は、血中のCa濃度が正常になっても、ときによってはストップせずに、今度は逆に血中Ca濃度が増えすぎてしまうことがある(高カルシウム血症)。増えすぎたCaは血中では一定濃度でなければならないので、血液中にも入れず、骨にも戻れない。結局余分なCaは柔らかい組織に入って行く。とくに平滑筋でできている血管、脳に入りやすく、心臓や肝臓の細胞内にもたまっていく。血管細胞にたまると、血管の柔らかい壁にセメントの粉がつくようなものであるから血管が硬く、もろくなって動脈硬化や高血圧になる。脳の血管細胞にたまると老人性痴呆症に、心臓なら心筋梗塞、肝臓に入ると結石という具合に、成人病の殆どがCa不足を発端に、遂にあふれたCa処理の異常で始まることになる。

日常生活でCa摂取を心がけよう
それでは、Caを摂りすぎるのもいけないのではないかと思われるかも知れないが、経口的に入ってきたCaは、腸で必要なだけ吸収されて、余分なものは体外に排出されるしくみになっている。したがって、Caを食事から十分に摂っていれば、動脈硬化をおさえ、ひいては脳血栓を防ぐことにもなる。

16.カルシウムと血圧の関係

Caは高血圧予想のバロメータ
Caの摂取量と血圧の関係については、疫学的、動物実験、臨床的事実から、硬水やCaを多く摂る地域では、低摂取の地域よりも高血圧患者の罹患率が11〜14%であるのに対し、1,200mg以上では3〜6%で、高血圧を予測するのに最も有効な要因はCa摂取量であると報告されている。 さらに、5万人以上の看護婦を対象にした調査から、1日のCa摂取量が800mg以上の群に対して400mg以下の群は、1.5倍近く高血圧を発症する危険性が高いことも指摘されている。

17.骨粗しよう症

女性は男性の数倍も早く骨が老化する

骨の老化、つまり骨粗しよう症を防ぐためには、骨量の減少をいかに抑えるかが重要であるが、それ以前の若い時期にCaを多く摂って、できるだけ最大骨量を高めておくことが大切である。とくに女性は男性の数倍のスピードで骨の老化が進むといわれている。一般に女性は妊娠、分娩によって子供にCaを与えるために不足するという考え方もある。勿論、この時期には通常の2倍近くのCa補給が必要とされている。

恐ろしい骨粗しよう症
老齢化すると骨粗しようといって、骨が軽石のようにか、あるいはスポンジのようにスカスカになり、もろくなってゆく。これは、骨も生きものであるから、毎日骨の一部がこわわれて吸収され、一方では新しく作られている。しかし高齢になると作り方が劣ってきて、こわされたところの穴うめが間に合わず、次第にスカスカの部分が増えてくる。とくに女性では、閉経にともない女性ホルモンであるエストロジェンの分泌が少なくなるため副甲状腺ホルモンの分泌が活発になり、骨からCaを取り出すことになる。そのため女性では50代から骨粗しよう症が増え、60代では約50%、80代では70%の人に骨粗しよう症が見られる。一方男性では、60代で10%程度であるが、70代から増え始め、80代では30%位見られるようになる。なお、骨折の中で大腿骨頚部骨折は治療に難渋することがしばしばあり、寝たきり老人性痴呆症を誘発しやすく、合併症として肺炎などを併発して死に至ることさえある。骨粗しよう症の人がつまずくなどすると骨折しやすい部分で、女性に患者が多い。一度発生すると40%の人は再び家へ帰れず、これが原因で12〜20%が死亡するといわれている。

18.カルシウムとがん
ガンに効くカルシウム
胃がんに対する栄養成分としてはビタミンA,B2,Caおよび脂肪の摂取量の多い人ほど胃がんが少ないといわれている。国民栄養調査と胃がん死亡率をカロリー、蛋白質、ビタミン、ミネラルから検討した結果、Caの摂取量と胃がん死亡率が最も関係があり、とくにCa摂取量380mg/日以上と以下に有意差のあることが認められている。Caはまた、結腸がんに対しても抑制的に働くという。アメリカでの多くの研究結果から、結腸がんの発生率を低下させるためのCaの摂取量は、男性では1,800mg、女性では1,500mg/日が適切な目標であるという。さらに結腸がんにかかったことのある人や、結腸がんにかかりやすい人の場合、結腸の粘膜細胞の増殖と分裂に異常があることが証明されている。異常繁殖が認められた人に、1日当り1,250〜1,500mgのCaを1〜4ヶ月間投与すると、結腸の上肢細胞の異常繁殖が抑えられ、結腸がんにかかりにくい人のそれに非常によく似てきたという報告もある。

19.カリウム(K)
注目!カリウムの効能
人は毎日の食事からカリウムを摂っており、健康には欠かせないミネラルであるが、これまであまり注目されていなかった。しかし最近はカリウムと健康との関係が認識されるようになってきた。なぜカリウムが注目されるようになったかについては次のような理由がある。食生活において食塩を多く摂ると高血圧、さらに脳卒中の原因になることはよく知られているが、このとき食塩と一緒にカリウムを十分に摂ると血圧の上昇を抑えることが明らかになってから注目されるようになった。アメリカでは、乳製品の消費の多い人ほど高血圧になる可能性が少なく、消費が減少した場合には高血圧と最も密接に関係する食品グループであると見られている。日本人のカリウムの摂取量を国民栄養調査から計算してみると約2.5gになる。一方、食塩の摂取量は世界一といわれ、一日平均12g以上になっている。食塩12g中のナトリウムは約5gで、カリウムの2倍も摂っていることになる。欧米人の食塩摂取量は10g以下で、日本人も1日の目安として10g以下が望ましいとされている。カリウムとナトリウムの理想的な摂取量は1:1(等量、重量比では約1.7:1)で摂っていれば血圧は上がりにくくなるはずで、都会の人々は1:4〜5の割合で、脳卒中の多い地域では1:6という高い比率でナトリウムを摂っているところもある。カリウムは野菜などにも多く含まれているが、最も手軽に摂取できる身近な食品は牛乳・乳製品で、アイスクリーム中にも160mg/100g以上と、牛乳よりも多く含まれている。カリウムの観点からもアイスクリームを再認識する必要がある。

20.成人病とは
成人病は予防からはじめましょう
成人病といわれるものは、人体を構成している細胞の加齢による変化が根底にあって、それに種々の発病因子が加わることによって成立するものであるから、われわれは遅かれ早かれ成人病になる可能性がある。したがって、できるだけそれにかかる時期を遅らせるように機能を調節する必要がある。
しかし高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などの成人病が、子供たちの中にも見られるようになってきた。もともと成人病は中年以降に運動不足や栄養の偏り、それにストレスなどがかたまって起きるもので、子供とは無縁のはずだったが、このことは現在の食生活も含めた環境問題に原因があるといえそうである。
このような子供の成人病的疾患の背景には、動物性脂肪の多食、嗜好飲料からの見えない糖分の摂りすぎによるカロリー増からくる肥満、栄養の偏り、そして運動不足があげられる。成人病の危険信号はまず肥満である。子供の肥満の約80%はそのまま成人の肥満(心臓病)につながるといわれている。

アイスの効能についていろいろと勉強していただけましたか? 連載はこれで終了いたします。ご愛読ありがとうございました。
今後はまた新しい企画を掲載していきたいと思います。